鋸刃の形状選定について
鋸刃の使用用途
鋸刃と言うと、一般的には木工用の“丸のこ(チップソー)”や“のこぎり”、金属切断用のメタルソー、バンドソー等をイメージする人が多いと思います。ここでは紹介する刃物は以下の用途で使用されます。
・包装用フィルム切断
・製紙における巻き取り替え時の切断 等
紙や包装用フィルムを切断用の鋸刃を使用する場合、以下の切り方が主流です。
・ラインと垂直方向で使用
・受けがない状態で突っ切る(押し切る)
材質は、包装機用鋸刃はSKHが主流です。紙用の鋸刃はSKSが主流です。これは切断物による差というよりは、刃物の大きさによるところが大きいと考えられます。
鋸刃形状と切れに対する関連事項
鋸刃はこのサイトでご紹介している工業用刃物の中では、少し刃先形状が複雑です。そのため切れ味や製品の仕上がりに対して考える要素も増えてきます。切れ味や製品仕上がりに影響がある部分についてご紹介します。
各部分の呼び方も特に決まっているものはありません。(表記と違う呼び方をする場合も多々ありますので、実際は図面や現物を見ながらお打合せください。)
①刃先ピッチ
刃先のとんがっている部分を「山」、へっこんでいる部分を「谷」と言います。山の間隔のことを「刃先ピッチ(ピッチ)」と言います。「P=〇〇」と表記することがあります。刃先ピッチは切れと製品の仕上がりに大きな影響があります。当社では刃先ピッチは1.5㎜から製作可能です。
包装用フィルムはP=2~6㎜、紙・不織布加工用は3~10㎜、製紙用はP=10~20㎜あたりがよく使われます。
②:刃先角
刃先角には山の角度(図の「刃先角」)と厚み方向の角度(図の「刃角」)があります。刃先角とピッチにより谷深さが決定します。したがって切れ味とともにストローク等の使用条件を考慮にいれます。
一般的には刃の角度は鋭角なものが切れが良く、鈍角なものが刃持ちがよくなります。
③:厚み
厚みも切れ味や刃持ちに大きく影響します。一般的には薄い刃物は切れがよくなり、厚い刃物は刃持ちがよくなります。また厚みは刃物そのものの強さ(剛性)にも大きく影響します。取り付け方法や切断物のテンションなども関係してきます。
④:全体的な形状
鋸刃全体の形状として、様々なパターンに分かれます。その一部をご紹介します。
・片刃や両刃、
・ストレート、山型(長さでセンター位置の幅寸法が高い)、斜め型(長さで一方の端の幅寸法が大きい)
・2段刃(テーパー付き)
・ノッチ付・・・包装用鋸刃で切り込みを入れる場合
・パンチ
鋸刃を使用した切断でよくご相談いただくお困り事とは?
当社には、これまで多くのお客様から多岐にわたる用途の刃物に関するお困り事のご相談をいただいてきました。その相談ごとというのは、刃物の長寿命化や刃物の欠けの抑制、切断面の品質向上を求めるニーズなどそのご要望は多岐にわたっています。
下記では、その一例をご紹介しています。詳しくは下記をご覧ください。
□ フィルム用鋸刃の溶着物抑制について >>>詳しくはこちら
□ フィルム用パンチへのコーティングによる長寿命化について>>>詳しくはこちら
鋸刃形状は切断条件(用途、切断物、機械構造等)により、本当に多くの形状があります。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください
鋸刃の種類~
当社では、鋸刃の取り扱い実績が多数あります。特注にて製作対応させていただいております。一部ご紹介しております。