切断における改善への考え方を大公開！

　紙加工・不織布加工・フィルム加工業者の皆様は日進月歩の新素材への対応や、既存製品製造においても生産性の向上など様々な角度から改善が求められ、大変な思いをされていることと思います。

当サイトのコンセプトはそんな製造業者様にお役立て情報をご提供したいという想いで運営しております。当社が切断に関して大事にしている考え方をここで大公開することにしました。

基本的なことですが、非常に大切にしている考え方です。皆様の切断工程がより良くなることにお役に立てていただければ幸いです。

１：良い刃物とは？

究極は良く切れ、長持ちして、低価格な刃物です。しかしながらすべてを兼ね備えた刃物はありません。当社はお客様の製造ラインにおいてより良い切断状態を実現する刃物をご提案しております。当社が考える「良い刃物」とは以下の２点を満たすものです。

・切断面が製品合格品質に達している

・安定的な寿命が確保できる

少しでも「より良い刃物」を提供するために、切断品質の向上や刃物のバラつきの抑制、長寿命化等の製品品質の向上と製造におけるトータルコストの低減を目指しております。お客様の切断条件は一つとして同じものがありません。したがって「良い切断」「最適な刃物」もお客様によって違うものと考えています。

２：「切れの良さ」と「持ちの良さ」の関係

「切れの良さ」と「持ちの良さ」は相反する関係です。

「切れが良い」刃物は一般的に刃角が鋭角であったり、同じ角度なら薄い刃物だったりしますが、逆に

「持ちの良い」刃物は一般的には刃角が鈍角であったり、分厚い刃物だったりします。

お客様の機械、切断物、求められる製品品質等の切断条件でお客様にとって最適な「切れと持ちの良いバランス」を見つけることが重要です。

上に述べた少しでも「良い刃物」切断品質や長寿命を達成するためには、高精度で硬度の高い材質を使った刃物が必要になることが多くあります。一方でそのような刃物は比較的高価なものになります。製品ロス、刃替えによる生産ロス、オペレーターの負荷等様々なことを考慮し、トータルコストを低減していくことが重要です。

超硬のような高硬度のものは、チッピング（刃欠け）が発生しやすい一面もあります。そのため、よりシビアな調整を必要とする場合があります。また剛性不足の機械には合わないケースもあります。

＜2段刃を使用する理由＞

上で述べた「切れの良さ」と「持ちの良さ」の両方を実現しようとしている例に2段刃があります。

まず、剛性を上げるために全体の厚みをある程度確保しています。分厚い刃物では切れ味が悪いため、刃先を薄くするために鋭角に「しのぎ」をつけていきます。また、このままでは刃先が鋭角すぎて、刃持ちが悪いため刃先角を鈍角にして、刃持ちを良くしています。

具体的な刃物の厚みやしのぎ角、刃先角は切断条件によって様々ですが、先人たちの工夫でこの形状が生まれたと思っています。

３：刃物改善への取組み方

より良い切断にするための取組みは以下の表のような内容を考えています。

・セッティング方法の検討

まずはセッティング方法などの使い方を確認することをお勧めいたします。費用が掛からないケースが多いことが最大のメリットです。使い方

＞＞＞改善事例：スリッター刃セッティング調整による刃持ちの改善事例はこちら

・刃先形状や角度の検討

現在ご使用の刃物を使って、再研磨時にテストをしてみることをお勧めしています。

＞＞＞改善事例：スリッター上刃のしのぎ研磨による切れ味改善事例はこちら

・同素材での硬さの変更の検討

新刃での製作時になりますが、同じ素材でも硬度の変更が可能な場合があります。材質特性上ある程度硬度の巾はありますが、硬度は熱処理で決まります。

＞＞＞改善事例：リサイクル用品向け粉砕刃の材質・硬度調整で長寿命化事例はこちら

・刃物仕様（形状・材質等）変更やコーティングの検討

研磨等による変更ができない場合、仕様変更をした新刃を製作してテストをしていただいております。

＞＞＞改善事例：フィルム用パンチへのコーティングによる長寿命化事例はこちら

・切断ユニット変更の検討

刃物単体での改善ではできないものは、ユニットにてご提供する場合もあります。ユニット提案についてはこれまでの案件はご紹介はできませんが、ユニットまでは当社でも対応させていただきます。

更なる改善は機械メーカーさんと調整いただくことになります。

改善はテスト含めユーザー様と協力しながら進めていく内容になります。少ない費用で効果がでることもありますので、まずはお気軽にご相談ください。