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丸刃による切断のポイント(紙加工・不織布加工・フィルム加工)

 

刃物屋から見る丸刃を使用した切断のポイントを解説!

 紙加工(家庭紙・紙管・帳票印刷等)やフィルム加工業者の皆様にはおなじみの丸刃。ライン方向に加工物を切断したパイプ形状のものを輪切りに切断する際に特によくご使用になっているとものです。実際にご使用いただいている現場の技術者の皆様の方が当然ご使用方法はよくご存じなのは承知の上で、刃物屋からみるポイントをご紹介したいと思います。いつもとは違った角度から、加工をチェックしてみてください。

 

 

 

丸刃とは

基本的には刃物の呼び方に決まりはありませんので、丸い刃物はなんでも「丸刃」です。ここで言う「丸刃」は押切と空中切りで切断する場合について中心にご紹介したいと思います。ハサミ式の切断は「スリッター」でご紹介しておりますので、そちらをご参照ください。

>>>刃物の種類と使い方についてはこちら

>>>スリッター刃による切断のポイントについてはこちら

 

 

1:押し切りについて

 

丸刃を押し切りにて使用する場合、アンビルロール(受け)に押し付けて切断していきます。アンビルロールへの刃物の接圧が切れ味と刃持ちに重要になります。アンビルロールの素材によって、接圧や丸刃の刃先形状を決めていきます。

(接圧:丸刃がアンビルを押さえつける力)

1)アンビルロール素材と刃先形状

アンビルロールは通常は金属ロールです。耐摩耗性を高めるために、SKHやSKDのリングをはめ込むか、ハードクロムメッキ等を施したものを使用することも多いです。

 この際の丸刃の先端には小さな丸み(R加工)をつけることで、刃物交換初期におこるチッピングを防止することもあります。

切断物が厚かったり、切れにくい場合は刃先角を鋭角にする必要があります。この時には金属のアンビルロールでは刃欠けが起こりやすいため、素材を樹脂やゴムにすることでロールに刃を食い込ませながら切断することも有効です。

 

2)切断物と刃先形状

 刃物全般に共通なことですが、刃先が鋭利だと切れ味が良く、鈍角だと刃持ちが良くなります。このページで述べている「丸刃」については基本的に両刃が良いと考えていますが、切れ味が足りない場合は片刃も検討する必要があります。加工の特性上、片刃の方が両刃より鋭角にすることが可能です。ただし、刃先を鋭角にすると摩耗がしやすくなったり、刃がかけやすくなったりするため、ロール素材やメンテナンス(刃の交換と再研磨)時期等は十分な注意が必要です。

3)接圧(押し付け圧)

丸刃をロールに押し付ける力は、切断物が切れる値の中での最小値が理想です。刃先が摩耗していき切れ味が悪くなると、少しずつ接圧を強くしていきます。アンビルロールを使用している場合の丸刃は駆動をかけずに自由回転(連れまい)が多いです。

安定した切断が実現していない場合は見直しをされると思いますが、実現できているところでも、刃物の長寿命化のために一度ご確認されることをお勧めします。

セッティング条件は切断物や周辺部品、切断構造によって変わりますので、理想の数値があるわけではありませんし、機械によっては現場の方々の感覚で行っているところも多いと思います。

 

切れ残りが発生する場合は研磨精度を見直すことも有効です。接圧を下げることができ、刃持ちも良くなるケースがあります。

>>>改善事例:粘着シートフィルムの切れ残り削減

 

2:空中切りについて

 空中切りという表現を使用していますが、これは受け刃などがなく切断物にのみ刃物が当たって切る方式をイメージしています。代表的なものはトイレットペーパーに使われるログカッターがあります。このような刃物は刃物自体に駆動があり、回転して切ります。

 紙管を切断するコアカッターは最終的には、ロールに接触するため、空中切りと押切の中間的な存在にあると考えられます。

空中切りは刃物単体の切れ味が非常に重要になるため、刃角や刃付け方法が特に重要になってきます。

空中切りでは切れ味を良くするために、刃先研磨方法をバーチカル研磨を用いることがあります。

 

バーチカル研磨とは?

バーチカル(vertical)は「垂直な」という意味で、研磨目が円周に対して垂直になるような研磨のことです。

当社ではホリゾンタル研磨(horizontal)という研磨目が円周に対して平行になるような研磨が多いです。

>>>詳しくはこちら(コラム記事:研磨加工設備のご紹介)

 

3:精度について

 以前はスコアナイフやコアカッターなどの丸刃は先端に小さな丸み(R加工)をつけ、アンビルロールに押し当てて使用することからそれほど高精度は要求されてませんでした。そのため、丸刃のホルダーも衝撃が吸収できるように鋳物で製作されているなどの工夫をしておりました。(今もこのような使い方が最もポピュラーです)

 近年は刃物に超硬が使用されることも増え、刃物だけでなくホルダーやロールの振れも少なくすることで長寿命化を図ることが増えてきています。

 弊社では真円度の高い研磨ができるように技術の向上に取り組んでいます。

 しかしながら、刃物だけの高精度化では延命化や刃欠け防止など実現しないことも多く、現状の切断品質をもう一段高めたいとお考えなら、ぜひ周辺部品も再検討されることをお勧めいたします。

 

 

弊社が取り扱っているスリッター上下刃と周辺部品の一部をご紹介いたします

>>>丸刃の製品詳細はこちら

>>>ミシン目丸刃の製品詳細はこちら

 

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