断裁包丁における切断のポイント(紙加工・印刷)
刃物屋から見る断裁包丁を使用した切断のポイントを解説!
印刷物、紙製品などの最終仕上げで使用される断裁包丁や三方断裁包丁。紙加工業界では最もポピュラーな刃物ではないでしょうか。実際にご使用いただいている現場の技術者の皆様の方が当然ご使用方法はよくご存じなのは承知の上で、刃物屋からみるポイントをご紹介したいと思います。いつもとは違った角度から、加工をチェックしてみてください。
<断裁包丁>
ポイント1:クランプ圧と刃先角
断裁包丁の切断条件の一つにクランプ圧があります。切断物の硬さや厚さによって適切なクランプ圧は変わります。
切断物 | クランプ圧 | 刃先角 |
軟質紙・薄紙 | 2~3トン | 19°~22° |
中質紙・上質紙 | 3トン | 21°~23° |
硬質紙・板紙 | 3~4トン | 22~24° |
切断物とクランプ圧・刃先角の参考
上記は切断物と刃先角・クランプ圧の参考数値です。
一般的にやわらかく、薄いものにはクランプ圧は弱めで、刃先角は鋭角なものを使用し、切断物が硬く厚いものになるにしたがってクランプ圧は高く、刃先角は鈍角にしていきます。
さらに分厚いものを切断するには、刃物を2段にする場合もあります。
<クランプ圧があっていない場合>
・クランプ圧が弱い場合は、重なった断面が弓なりになる
・クランプ圧が強い場合は、重なった断面が斜めになる
このような場合は設定を見直してみることをお勧めします。
ゴムやフィルムなど素材が違う場合は条件が変わってきますのでご相談いただければと思います。
ポイント2:刃物のメンテナンス(交換時)
断裁包丁を交換するのは危険かつ大変だと思います。安全面からも断裁機メーカーのマニュアルをご確認いただきよく注意して交換作業を行っていただければと思います。
刃物のことを考えると以下のことをご注意ください
・刃先を当てない
・刃裏を下にしておかない(作業上刃裏が下になる場合はやわらかい布などを引いてください)
※特に刃物が新品の場合は刃裏を下にすると欠けやすいのでご注意ください
・交換後はやわらかいものか少量で慣らしカットを行う
・交換時に切れや傷が気になったり、刃替え調整がしにくくなった気になった場合は、歪確認・歪修正を研磨業者にご依頼ください
ポイント3:合成定規について
切断後に刃先が実際にあたる、合成定規について少しご紹介します。
緑色・・・紙の切断では最も一般的
黒色・・・少し硬い。超硬などで使用することがある
青色・・・ゴム系が入っており少し柔らかい。食い込まして切りたい場合は使用することがある
生産スケジュール上管理が難しいと思いますが、多品種を加工する場合に切る順番などが調整できるようでしたら刃欠けが減ったり、長寿命化につながったりします。
<三方断裁包丁・ガイド付カッター刃>
断裁包丁のような合成定規等で受けるのではなく、上刃・下刃(移動刃・固定刃)のようにすり合わせで切断する場合についてです。
ポイント1:セッティング
・切れ残りが発生しないできるだけ接圧を小さな状態から使い始める。
・切れが悪くなったら接圧を少しずつ上げていく
ポイント2:刃物のメンテナンス
・接圧を強くしすぎず、気持ち早めに刃物交換し研磨に出す。
(無理に切ろうとすると、摩耗量が大きくなったり傷がつく原因になります)
・反り(歪)方向と大きさをたまに確認する(研磨業者等メンテナンスを行っているところに相談してみてください)
使用方法や注意する点は断裁包丁と同じ部分も多々ありますので、このページの<断裁包丁>部分についてもご参考にしてください。
断裁包丁に使用上の改善事例の一部をご紹介いたします
>>>粘着物の切断刃物の表面粗さを変更することで切削性改善はこちら